2008 Fiscal Year Annual Research Report
高度経済成長期の水俣地域における日常生活の変容と水俣病体験
Project/Area Number |
19530436
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
平岡 義和 Shizuoka University, 人文学部, 教授 (40181143)
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Keywords | 水俣地域 / 高度経済成長 / 結婚 / 出産 / 家庭電化 / テレビ |
Research Abstract |
今年度も、昨年度に引き続き、これまで行ったインタビュー記録の整理・分析を中心に、追加的な資料の収集を行った。分析においては、高度経済成長期の一般的な特徴を記述した文献・資料と対比する形で、水俣地域における日常生活の状況の異同をあぶり出すことにつとめた。特に重点をおいて行ったのは、一つは結婚、出産の変容で、もう一つはテレビを中心とした家庭電化の進展である。この二つは、この時期における家庭の変容を示す大きな出来事だと考えられるからである。 前者については、成果として記載した論文にまとめたが、水俣地域においても、結婚式、出産という出来事が、家という閉じられた空間で行われていた形態から、急速に外部化、専門化し、結婚式場、病院という場で行われるようになっていく経過が明らかになった。 後者については、分析はまだ途中ではあるが、やはりこの時期水俣地域においても、家庭電化は急速に進行しており、そこには階層差が見られること、つまり経済成長の恩恵を享受できた層とできなかった層との格差が拡大したことが浮かび上がってきた。また結婚、出産とは異なり、家庭電化の進展は、テレビの家庭内視聴、洗濯の家庭内化によって、家庭をむしろ閉じる方向に機能したことが見て取れる。 この二つの出来事だけでなく、高度経済成長期における日常生活の変容は様々な側面で、多様な形態をとって生起しており、そうした複雑かつ急速な生活の変化の中で水俣病が発生したのである。
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Research Products
(1 results)