2008 Fiscal Year Annual Research Report
人権の安保問題化:北朝鮮からの脱北者に対する中国、韓国、米国の人権政策の比較分析
Project/Area Number |
19530457
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
金 美景 Hiroshima City University, 付置研究所, 准教授 (50423968)
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Keywords | 非伝統的な安保問題 / 北朝鮮の脱北者 / 人権の安保問題化 |
Research Abstract |
第2次世界大戦後、国際社会において非伝統的な安保問題(例:人権、拉致、不法難民、歴史再検討、環境破壊、麻薬密売など)が「安保イシュー化」される傾向を見せている。特に北東アジアの場合、各国が国際化、民主化され(中国、韓国の場合)、また後期産業化社会へと転換する中(日本の場合)、このような現象が著しく現われている。北朝鮮の脱北者たちに対する法的定義と彼らの処遇に係わる人権イシューもまた、中国と韓国の間における重要な非伝統的な安保問題として現出している。日本の場合は1970年代に北朝鮮によって拉致された日本人たちとその家族に対する人権問題が重要な「人間の安全保障」の問題として登場した。また、アメリカの場合は「道徳的透明性」を国際関係の重要な哲学的基盤とする現ブッシュ政府の北朝鮮人権の安保問題化が注目された。しかし、これらの問題を取り扱っている従来の研究の大部分は、問題と現状の叙述に止まっており、その体系的な理論化の努力が切実に必要な状況である。北朝鮮の非核化プロセスを進めるために同国をテロ支援国家リストからはずすという、ジョージ・ブッシュ政権の動きをめぐる最近の議論は、現実主義の伝統的な安全保障への関心と、国際問題における規範的な議題に対する言辞的な強調の間のガップを反映している。
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Research Products
(3 results)