2007 Fiscal Year Annual Research Report
独立型社会福祉士によるソーシャルワークに関する実証的研究
Project/Area Number |
19530489
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
高良 麻子 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 准教授 (70376846)
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Keywords | 独立型社会福祉士 / ソーシャルワーク |
Research Abstract |
平成19年度は、ソーシャルワーク実践に影響を与える組織要因や既存組織から独立して活動している社会福祉士によるソーシャルワーク実践の独自性の把握を主な目的として、日本社会福祉士会に属する全独立型社会福祉士442名と同数の既存組織所属の社会福祉士に対して無記名自記式の質問紙調査を実施した。 現時点では単純集計によるデータ把握ではあるが、所属組織の利益や意向の優先、組織によるソーシャルワークに対する低い評価、組織が考える社会福祉士の限定的な業務範囲などの要因が、既存組織に属する社会福祉士のソーシャルワーク実践を制限していることが明らかになった。一方、既存組織から独立して活動している社会福祉士は、自由裁量性や中立性を最大限確保することによって、当事者主体や迅速および柔軟な対応を特徴とした実践を行っていることが把握できた。特に、既存の社会福祉関係組織に所属し勤務していた時には援助の必要性を感じながらも対応できなかった状況に、独立型社会福祉士としてはかなりの割合で対応できていることが明らかになっている。具体的には、当事者への援助が所属組織の収益にならなかった場合や所属組織が考える社会福祉士の業務に当事者への援助が含まれなかった場合などである。しかしながら、それらは脆弱な経済基盤や低い社会的信用および認知度という限界と隣り合わせであることも明らかになっている。引き続き本調査で得られた自由記述による質的データおよび量的データの分析を進め、考察を深めて行く予定である。
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