2008 Fiscal Year Annual Research Report
独立型社会福祉士によるソーシャルワークに関する実証的研究
Project/Area Number |
19530489
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
高良 麻子 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 准教授 (70376846)
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Keywords | 独立型社会福祉士 / ソーシャルワーク |
Research Abstract |
平成19年度に実施した日本社会福祉士会に属する全独立型社会福祉士442名と同数の既存組織所属の社会福祉士に対する無記名自記式の質問紙調査の結果から明らかになった公的サービスによる未充足ニーズおよびそれらへの独立型社会福祉士による対応を具体的に把握するために、平成20年10月と11月に東京2回と大阪2回の合計21名の独立型社会福祉士に対するフォーカス・グループ・インタビューを行った。ICレコーダーで録音したデータはすべて文字起こしし、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによって分析を行っている。現時点では、公的サービスによる未充足ニーズとして公的サービス対象ニーズ、グレーニーズ、インフォーマルニーズの3つに分類され、中でも公的サービス対象ニーズが充足されていない理由として(1)アクセス困難、(2)制度上の不備、(3)運用上の不備、(4)公的サービスの不足が見られる。これらの公的サービスによる未充足ニーズに対応する独立型社会福祉士の実践として、(1)抱括的・継続的支援、(2)アウトリーチ、(3)地域力向上支援、(4)ソーシャルアクション、(5)社会福祉士の育成が明らかになっている。このような実践を可能にする要因として、強い思い、柔軟性、個別性、地域感覚、公正性などが見られるとともに、アセスメント、ネットワーキング、ネゴシエーション、プレゼンテーションなどの能力が明らかになった。しかしながら、これらの実践を続けて行くには課題も多く、(1)対価確保、(2)収入と倫理的実践のバランス、(3)個人による限界への対応、(4)社会的地位の向上などが主なものとして見られる。現在も分析を継続しており、概念やカテゴリーの相互関係などを含む分祈を進めて行く予定である。
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