2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530498
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Research Institution | Gifu College of Nursing |
Principal Investigator |
杉野 緑 Gifu College of Nursing, 看護学部, 准教授 (70326106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 昌子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (50095402)
朝比奈 朋子 川村学園女子大学, 教育学部, 講師 (00438996)
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Keywords | 社会福祉学 / 貧困 / ワーキングプア |
Research Abstract |
本研究は、日本のワーキングプアの社会的性格を実証的に明らかにし、その性格に即した地域での自立条件を提示するための基礎的研究を行うものである。1990年代からのワーキングプアを生活保護との関係、不安定就業層の労働市場、性別、居住条件の4側面から分析し、ワーキングプアの特徴を捉え、「就労+アルファ」の自立条件を試作することを目的としている。 19年度は主に以下の研究を行った。 1. 生活保護就労自立支援の対象となったケースの再分析。義務教育終了後の15歳から19歳未満のケース(22ケース)を基本属性、進学状況、就労実態、親世代との比較の点から検討した。その結果、就学前・義務教育早期から生活保護世帯の子どもとなり、低位な生活レベルが固定しており、進学状況へも大きな影響を与え、義務教育終了後から就労と教育の両立を行い、その就労は親世代よりも低い社会階層となっている。 2. 就労自立支援対象外となったケース(81ケース)の分析(継続中)。現時点までの分析では、就労自立支援対象となったケースと比較して、重度の慢性疾患患者、世帯員全員が傷病などの多問題世帯であり、就労への期待はできにくい状況であることが示されている。 3. 重化学工業都市南部地域の検討。当該地域に開設された隣保館が実施した社会調査(1961年から1992年までの17調査報告書)および統計資料から地域の形成と変容、都市下層労働者の生活問題と居住実態を捉えた。その結果、高い民間アパートの割合、高い保護率、高齢者の生活困難と孤立が明らかになった。労働者地域として形成されていくなかで、住まい、生活保護、高齢化が不可分に結びつきながら民間アパート居住層に集中的に生活問題が体現されていることが明らかになった。
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