2007 Fiscal Year Annual Research Report
犯罪不安に関する認知・感情プロセスのモデル化とその応用
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19530553
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上市 秀雄 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 講師 (20334534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺井 あすか 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 21世紀COE研究員 (70422540)
栗山 直子 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教 (90361782)
楠見 孝 京都大学, 大学院・教育学研究科 (70195444)
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Keywords | 罪悪感 / 後悔 / 恥 / 意思決定 |
Research Abstract |
目的:本研究では、人々が自分の人生において最も強く感じている罪悪感にっいて、どのような対処方法を用いて罪悪感を低減するのかを明らかにした。 方法:2007年11月に大学生138人に対して、質問紙調査を行った。罪悪感は規則場面(法律・規則・約束を破ったなど)と対人場面(相手を傷つけたなど)について、被験者が実際に経験した罪悪感を自由記述させた。さらにその罪悪感を感じた行動をしている最中の罪悪感、行動直後の罪悪感・恥・後悔の程度、対処法(積極的対処:反省、謝罪、行動の改善(今後はこのようにならないようにする)、合理化(今後の自分にとって有益だ))、消極的対処:自己正当化(こうするよりしかたがなかった)、隠蔽(考えないようにする)など)、その行動に対する今現在の罪悪感・恥・後悔の程度について、5段階評定(1:あてはまらない〜5:あてはまる)で評定させた。そして対処法の各項目を平均値で二群に分け、対処法を独立変数、罪悪感の程度を従属変数として、繰り返しのある分散分析を行った。結果と考察:規則場面での罪悪感に有効な対処法として、自己正当化、隠蔽などの自分自身をごまかすような消極的対処だけでなく、行動の改善や謝罪という積極的に罪悪感を解消するための対処法もまた、罪悪感を低減するために有効な手段であることが示された。対人場面では、隠蔽や自己正当化などの消極的な対処法のみが有意であり、謝罪などの積極的な対処法は見出せなかった。しかしながら対人場面での罪悪感は、恥と高い相関関係にあり、その恥は合理化、謝罪という対処法が有効だった。これらにより、対人場面での罪悪感は、それ自体を積極的に対処する有効な方法は見出せなかったものの、自分に対する恥を、謝罪、合理化という積極的な対処法で対処することで、罪悪感も低減する可能性が示唆された。
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