2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530557
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
釘原 直樹 Osaka University, 人間科学研究科, 教授 (60153269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 善太郎 福岡教育大学, 教育学部, 講師 (20340367)
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Keywords | JR福知山線脱線事故 / スケープゴート / 非難の変遷 / 事故報道 / 記事数 / 記事分析 / マスコミ報道 |
Research Abstract |
平成19年度は2005年4月25日に発生したJR福知山線脱線事故に関連するマスコミ報道を題材としてスケープゴートの変遷について検討した。具体的には、事故報道において非難される対象が変遷する過程、そしてそれぞれに対する非難量(記事数・非難程度)の変動を検討した。本研究の検討対象には、新聞と週刊誌を取り上げた。新聞では読売新聞、朝日新聞、毎日新聞の3紙と週刊文春、週刊朝日、サンデー毎日の3誌を対象とした。分析対象期間は、事故翌日4月26日から、7月25日までとした。JR福知山線脱線事故に関連していると考えられる記事はすべて分析対象とした。その際、事故に関連していることが明確な記事だけではなく、JRの経済的な側面の記事(会社としての収益状況に関する記事等)、置き石に関する記事なども含めた。記事数は、基本的には見出しごとに1記事とした。なお、本研究では、非難だけではなく、賞賛や非難の程度についても検討した。記録は各記事の日付、頁数、誌名、非難対象、非難の根拠、非難主体、非難程度、記事内容などについて行った。この中で例えば非難対象として、個人のレベルでは、運転士、車掌、救助しなかった同乗運転士、経営陣、車両の設計者、置き石などをする愉快犯などが挙げられ、集団のレベルではJR西日本の姿勢・体質、労組、鉄道業、消防局、県警、その他車両メーカー、救命システム、マスコミ、現代人、現代社会などを取り上げた。非難の程度については、「非難なし」、「非難」、「非難+感情評価」に分類した。コーディングは、新聞3紙と週刊誌それぞれに1名ずつ合計4名のコーディング責任者をおき、各責任者が基準に沿ってコーディングを行なった。コーディング後、一致率を検討することでコーディングの信頼性を確かめた。これらのデータを分析した結果、非難が個人から集団、システム、国家、文化社会へと変遷・拡散することが明らかになった。
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Research Products
(9 results)