2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530599
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
外山 紀子 Tsuda College, 学芸学部, 准教授 (80328038)
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Keywords | 概念発達 / 幼児期 / 素朴生物学 / 生気論的因果 / 因果推論 / 認知発達 / 心身相関 |
Research Abstract |
身体現象を「気」や「活力」といった不特定のエネルギーの生成と循環によって説明する生気論的因果が,発達にともなって,身体固有のものから心身相関的なものへと変化していく可能性を3つの個別研究によって検討した。 第1に,生気論的因果の中心概念である「(元)気」と「活力」が,具体的にどのような身体的・心理的属性を表す概念であるのかを検討した。大学生に対する質問紙調査を実施し,生気論的概念(元気・活力)・身体的概念(健康・体力)・心理的概念(社交性・安定性)と心理的・身体的属性との関連度評定を求めた。その結果,生気論的概念は「我慢強い」や「前向きである」といった心理的属性とも,「持久力がある」や「疲れにくい」といった身体的属性とも関連度が高かった。大学生において,生気論的概念は心と身体の双方にまたがる概念であるようだ。 第2に,上記の質問紙調査の項目を簡略化し,幼児(5歳児・6歳児)と小学生(8歳児と11歳児)に対する個別インタビュー調査を実施した。その結果,5歳児については明瞭な結果は得られなかったが,6歳以降の年齢については,生気論的概念が心と身体双方にまたがるものとして理解されていることが示された。 第3に,幼児(5歳児・6歳児),小学生(8歳児・11歳児)と大学生に対して,心因性・身体性の身体反応(たとえば,「心配で腹痛になった」「腐ったものを食べて腹痛になった」)を提示し,身体反応を緩和させるために心理的・身体的介入(たとえば,「気晴らしに楽しいことをする」「薬を飲む」)がどれほど効果的と思うか,評定を求めた。その結果,5歳児・6歳児・8歳児は,身体的介入については,心因性,身体性の身体反応のどちらについても,ある程度の効果があると評定したが,心理的介入については心因性の身体反応に対してさえも,評定値が低かった。
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