2008 Fiscal Year Annual Research Report
キレやすい児童生徒の母子関係とその支援の在り方に関する実証的研究
Project/Area Number |
19530631
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
藤井 義久 Iwate Prefectural University, 共通教育センター, 准教授 (60305258)
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Keywords | 母親 / キレやすさ / 支援 / 子育て不安 / 育児環境 / 敵意 / 攻撃性 / 虐待的態度 |
Research Abstract |
現在、子育て中の母親602名(平均年齢:41.29歳)を対象として、「子育て中において子供の言動に対してキレやすい母親」の実態及びその支援の在り方に関する調査を行った。調査は、調査協力校に所属していう児童生徒を通じて調査用紙を母親に配布し、一定期間後に児童生徒を通じて担任経由で回収する留置法を用いた。調査実施に当たっては、個人情報保護の観点から担任等他人に回答が見られないように、回答した調査用紙は保護者自らが所定の封筒に入れ厳封した上で担任に提出することとした。まず、項目分析及び因子分析の結果、「子供の日常的態度」、「子供の声」、「子供の能力」、「子供の問題行動」という4つの下位尺度、計16項目から成る「母親用子育て怒り尺度」を開発し、母親は、特に子供に何らかの反社会的問題行動の兆しが見られた時にカッとなりやすいことを明らかにした。また、子育て中にカッとなりやすい母親ほど子供に対して体罰を加える傾向の強いこと、子育て不安の強い母親ほど子育て中にカッとなりやすいことなども併せて明らかになった。さらに、重回帰分析の結果、母親は、キレやすい児童生徒の問題に対して、相談機関に何らかの支援をお願いしたり、育児環境を改善しようとするのではなく、敵意や攻撃性を子供に向けるといった虐待的態度で問題を解決しようという傾向の強いことが浮き彫りになった。母親の虐待的態度は、母子関係を悪化させ、さらに児童生徒のキレやすさ傾向を高めることにつながっていくと考えられることから、この負の連鎖を断ち切っていく支援対策を早急に見つけることこそがキレやすい児童生徒をこれ以上増やさないためにも重要であることが示唆された。
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Research Products
(5 results)