2008 Fiscal Year Annual Research Report
フランス革命期「併合地」における「公教育組織法」の施行過程に関する実証的研究
Project/Area Number |
19530679
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小林 亜子 Saitama University, 教養学部, 教授 (90225491)
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Keywords | フランス革命 / 公教育 / エコール・サントラル / ドヌー / 革命戦争 / フランス革命期併合地 / スイス / ライン左岸 |
Research Abstract |
本研究は、フランス革命期に、革命戦争によりフランス領となった「併合地」に対し、「公教育組織法」(ドヌー法、1995年)に基づいて施行された公教育の実態を、フランスおよび当時の「併合地」の古文書館所蔵手稿史料を用いて解明し、革命期公教育政策のもっていた啓蒙期コスモポリタニズムの継承という側面、19世紀ナショナリズムの先駆という側面、またそのいずれでもない革命期固有の特徴を検証し、従来、理論面の研究にとどまっていた革命期の公教育について、併合地も視野に入れて、理論と実態の両面から全容を明らかにしようとするものである。平成20年度は、平成19年度に調査・収集したフランス国立古文書館所蔵の「併合地」公教育関係の史料を分析し、当時の併合地であった、スイス西部、ルクセンブルク、ドイツ西部の公教育の施行状況について全体像の解明につとめた。これにより、公教育の施行に際しては、きわめて積極的であった地域と、消極的であった地域にはっきりと分かれることが明らかになったので、この差異の社会文化的背景についても調査・分析を行った。その検証のため、さらにフランス国立古文書館で関係史料を収集するとともに、当該地域の古文書館にも赴いて史料の調査・収集を行った。特に、「エコール・サントラル」関係の史料は網羅的な収集につとめ、「併合地」の中でもエコール・サントラルが実際に設立され成功を収めたポレントリュイ(スイス)については、フランスの公教育法制の施行に積極的であった背景を解明するため、エコール・サントラル関係史料とともに、併合前の教育関係史料も調査・収集し、当該都市の歴史的、社会文化的背景の分析を行った。さらに、これまでの成果を書籍としてまとめ刊行するため、平成21年度の科学研究費「研究成果公開促進費」を申請し、採択された。
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