2008 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス新教育運動における教師の「行為コード」と専門職化に関する教育思想史的研究
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19530734
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
山崎 洋子 Mukogawa Women's University, 文学部, 教授 (40311823)
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Keywords | 教師の行為コード / 教師の専門職性・専門化 / 教師の自律性 / パーシー・ナン / イギリス新教育運動 / 進歩主義思想 / 教育思想の両義性 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、教師の「行為コード」の観点から教師の専門職性や自律性を規定するモメントと理念を析出し、それらを次元、局面、内容などに着目して概念整理及び類型化することであった。今年度は、再度、分析枠組みの検討を4月-9月にかけて行った。9月にはイギリス教育史学会(ケンブリッジ)で、下記分析枠組みのA.Bに関して、日英の相互の教育思想史を視野に入れながら、New Idealism and Realism in educational thought: discourses within and beyond the university in the publication of progressive educationというタイトルで学会発表を行った。また、その際に研究協力者のDr. Peter Cunningham, Prof. Loy Lowe、Mr. Gary Foskett、Mrs Wanda Hamiciから助言指導を得た上で、既に措定していたそれそれの分析上の局面に、またそれぞれ両義的次元があるということに気づいた。この点への配慮の必要性を確認しながら、10月以降、教師の自律性を規定する「教育目的論」に対して、A:理想主義的な倫理的人格形成論、B:現実主義的な専門知識重視論、C:教育技術的な教授論に弁別するために、それぞれに関する諸言説を、とりわけパーシー・ナンとC・バートに着目して抽出する作業に取り組んだ。また、その過程で、Prof Roy Loweの助言をさらに得るべく、シドニーでの英豪ジョイント教育史学会に参加し、研究会を3回実施した。以上の研究実績を総括した上で今後、配慮すべき点は、公教育制度の発展する状況下において、「教師の行為コード」と「教師の専門性・専門化」との相関性については、政治的力学が進歩的な教育運動家にいかに働いているか、という点であることを確認した。
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Research Products
(3 results)