Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
無藤 隆 白梅学園大学, こども学部, 教授 (40111562)
新開 よしみ 東京家政学院大学, 家政学部, 講師 (50369352)
松嵜 洋子 埼玉学園大学, 人間学部, 准教授 (90331511)
吉永 早苗 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 准教授 (80200765)
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Research Abstract |
本研究では,子どもたちが日常生活の中にある身近な音や,風や木の音や鳥の声などの自然の音に耳を傾け,そこから喚起される情動によって自然に歌い出したり,自分なりの表現によってそのものにふさわしい音を生み出したりするといった,子どもと音との素朴なかかわりや音楽的表現の芽生えに着目し,保育においてそのような子どもの表現を生み出すための音環境のあり方と,サウンド・スケープの概念を取り入れた音環境づくりに基づく表現教育のカリキュラムデザインの理論的構築をめざすものである。 19年度は予備調査として,幼稚園,保育所数園における,園内の音環境の調査を実施した。各園において騒音計による保育室内外の音圧を測定し,これら評価の結果との関係について検討した。また園長および現場保育者への聴き取り調査を実施し,保育の中での音環境に関する意識調査も行った。 音圧測定では,とくにお集まりの時間では,子どもたちが保育者の話に耳を傾け,集中しているときには音圧が下がり,活動的な場面では上がるという結果であったが,このような状況も保育者自身の意識的な働きかけによって静動めりはりのある活動がうまれることによる。保育者は,活動的な遊びと静かに集中して遊ぶときには場づくりにもくふうを凝らし,それにより,子どもたちがそれぞれの場によって自身で振舞い方を変える姿もみられた。さらに音への気づきを促す環境づくり(風の通り道に風鈴を吊るす,雨の日にはといをつたって落ちる雨音を空き容器で受けてはねる音を聴く,水たまりの中を歩くなど)への配慮がみられ,子どもが音に対して興味を抱いたり,音に対する感性を育てたりするためには,保育者が意識的に環境づくりをする必要性が示唆された。 これらの研究成果については,吉永が「子どもの音環境に関する研究(II)-音との感性的な出会いを演出する-」として論文にまとめ,また日本発達心理学会日本発達心理学会第19回大会において発表した。
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