Research Abstract |
小学校の系統的な睡眠学習カリキュラムを構築することを目指して,教材を開発するとともに,睡眠学習プログラムを作成して実践化を試み,その有効性について検討した。さらに,開発した睡眠学習教材をデジタルコンテンツ化し,学校園の授業や校内研究会等で活用できるようにすることを目的とした。得られた結果の大要は以下のとおりである。 (1)現行の小学校体育科の保健領域(3〜6年生)の指導内容に沿って睡眠の科学的知見を位置づけ,発達段階をふまえた系統的な睡眠学習教材を作成した。睡眠学習における児童の評価は,3年生と4年生では,授業の楽しさ,内容の理解度,生活への活用度,教具の適切度ついてほぼ全員から「大いにある」または「まあまあある」の評価が得られた。5年生と6年生では,中学年に比べて「あまりない」あるいは「まったくない」とする児童の数が多少増えているものの,多くの児童から高い評価が得られた。授業者および授業観察者の評価では,提示した資料の説明の仕方でいくつかの改善点が指摘されたが,いずれの学年の授業においても,児童が睡眠の科学的知見を通して,自分の睡眠生活を見直したり,再発見したりしていたことが高く評価された。これらの結果から,開発した教材およびプログラムは,児童に睡眠の大切さに気づかせるとともに,睡眠に関する知識を深めることができると考えられた。 (2)Web教材は,「睡眠科学の基礎」,「健やかな体をつくる睡眠6か条」,「快眠に向けて補足6か条」で構成させた。Web教材に対して質問紙調査(5段階評価)を実施した結果,画像等に関わる項目の平均得点は3.9〜4.3の範囲にあり,内容等に関わる項目の平均得点は3.8〜4.5の範囲にあった。Web教材の改善に向けては56件の具体的な指摘を受けた。これらをふまえて,リンクのはり方,図の色調,図中の文字,カット図の挿入について改善を加えた。
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