2007 Fiscal Year Annual Research Report
小学校算数と中学校数学の"つなぎ"に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19530829
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
井上 正允 Saga University, 文化教育学部, 教授 (00404111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 晃央 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (60022274)
藤田 景子 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (40274568)
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Keywords | 学校教育 / 小中一貫・連携 / 算数・数学 / カリキュラムの接続 / 小学校と中学校の学校文化 / 中学教員の多忙感 / 高校受験と部活動 |
Research Abstract |
佐賀市教育委貝会が設立した小中一貫校である芙蓉小学校・中学校をフィールドとして、アクションリサーチという研究手法を使って、小学校算数と中学校数学の接続について研究を進めた。具体的には、ゼミの院2生が非常勤講師として中学校の授業を担当、院1生や学部4年生が小中の教室に教育ボランティアとして学校に入る、研究代表者が小中学校の教員との協議を重ね小6(6月)と中3(9月)生を相手にトピック授業を試みる等、そうした取り組みからさまざまな課題が見えてきた。 一番の問題は、教科内容だけでなく授業方法をどうつないでいくかという課題である。例えば、芙蓉小中では、9年間を見通した算数・数学のカリキュラム(指導計画表)がつくられたが、小学校と中学校のどの学年の内容が繋がっているのかは明らかになったが、それぞれがどういうねらいをもって教えられるべきかという検討・協議がされてはいない。小学校の教師には「私は数学を専門に勉強してきたわけではないから、中学校の数学については分からない」という気持ちがあり、中学校の教師には「小学校と違い、教えなければならないたくさんの内容を限られた時間の中で消化するためには、小学校のような『子どもの意見を拾いながら、みんなで練り上げていく』という授業手法は中学校では採用しにくい」といり思いがある。教師の授業観か違うのである。これは、教師の子ども観、小学校と中学校の学校文化の違いに通ずる難題である。広島・呉や東京・品川の先行実践でも同様な指摘がされている。 芙蓉小の5-6年生では、小中教員(小の学級担任と中学数学科教員)によるTT授業が行われている。小学校の教員は「自分たちが小学校で教えた内容が、中学校でどう広がり深められるのかの見通しが持てるようになった」と語り、中学校の教員は「小学6年生がこんな風に考えることができるというのが、発見であった」と語る。この意義は大きい。 研究当初は、3年間で小中一貫9カ年の算数・数学カリキュフム試案が作れればと考えていたが、「中1ギャップ」をはじめとして、小学校・中学校間に横たわるさまざま問題・乖離について検討を進めながら、教科内容と授業方法の接続を考えていく。
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Research Products
(4 results)