2010 Fiscal Year Annual Research Report
Hilbert-Speiser型の代数体とStickelberger Ideal
Project/Area Number |
19540005
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
市村 文男 茨城大学, 理学部, 教授 (00203109)
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Keywords | Hilbert-Speiserの定理 / Stickelberger ideal / 正規底 / ideal類群 |
Research Abstract |
素数を一つ固定しそれをpとする。代数体FがHilbert-Speiser条件H(p^n)を満たすとはexponentがp^nを割るすべてのアーベル拡大N/Fがp-整数環に関して正規底を持つことを言う。(ここでnは自然数。)代数体Fがすべてのnでこの条件を満たす時、Fは条件H(p^∞)を満たすという。HilbertとSpeiserにより有理数体はすべての素数pでこの非常に強い条件H(p^∞)を満たす。有理数体以外でこの条件を満たす代数体があり得るかという問題意識で研究してきた。Kを基礎体Fに1のp^n乗根を添加した体、GをK/Fのガロア群とする。昨年度までの研究ではpが奇素数の場合に、FがH(p^n)を満たすための必要十分条件を、Gに付随したStickelberger idealを定義してそれのKのideal類群への作用を通して記述した。更にpが3,7,11,19,43,67,163の場合に虚2次体F=Q(√<-p>)が条件H(p^∞)を満たす代数体の候補であることを示した。今年度はp=2の場合に対応する成果を得た。奇素数の場合と比べて(p-1)/2が整数にならない点、上記のガロア群Gが巡回群にならない点等が大きな困難となったが、巧妙な議論で乗り越えた。さらに虚2次体F=Q(√<-1>)とQ(√<-2>)がH(2^∞)を満たす者の候補であることを示した。(これら9個の虚2次体は有名な類数1の虚2次体である。)以上が今年度の主要な結果であり、Mathematical Journal of Okayama Universityに掲載予定である。これ以外に次の結果も得た。平方因子のない自然数をmとし1のm乗根をzとする。このとき、アーベル拡大Q(z,a^{1/m})/Q(z)の分岐がtameなら必ず正規整数底を持つ。これはmが素数の場合の河本の結果の自然な拡張である。
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Research Products
(3 results)