2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540179
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高崎 金久 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (40171433)
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Keywords | 普遍Whitham階層 / 流体力学的簡約 / 無分散広田方程式 / 超対称ゲージ理論 / 溶解結晶模型 / 戸田階層 / Pfaff-戸田階層 / Fay型等式 |
Research Abstract |
1. 種数0の普遍Whitham階層の有限変数簡約(流体力学的簡約)の仕組みを無分散広田方程式に基づいて明らかにした.これは無分散KP階層や無分散戸田階層に関して知られていたことの自然な一般化である. 2. 5次元超対称U(1)ゲージ理論のインスタントン和は溶解結晶模型と呼ばれる統計力学的模型と見なせるが,昨年度の研究では,そこにある種の外部ポテンシャルを導入するとき,分配函数が1次元戸田階層の特殊なτ函数に簡単な因子を乗じたものであることを明らかにした.今年度の研究では,この外部ポテンシャルが5次元方向(円周にコンパクト化されている)のウイルソンループの寄与であることを示すとともに,溶解結晶模型の熱力学的極限からSeiberg-Witten曲線を導出した. 3. 溶解結晶模型には温度に関わるパラメータqが含まれているが,これを2個に増やした形の一般化を定式化した.さらに,5次元超対称U(1)ゲージ理論のインスタントン和の場合と同様の外部ポテンシャルを導入して,この模型も2次元戸田階層のある種の簡約系と関係していることを見出した. 4. DKP階層の戸田格子版であるPfaff-戸田階層に対して差分Fay等式の概念を導入し,それを用いて補助線形問題や無分散極限の構造を考察した.結果として,この可積分階層の補助線形問題と無分散極限がDKP階層の場合とよく似た特徴をもつことがわかった.また,Fay型等式の有用性がこの例でも検証された.
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