2008 Fiscal Year Annual Research Report
タイヒミュラー空間のプリーツ座標の大域的構成とその応用
Project/Area Number |
19540194
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小森 洋平 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (70264794)
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Keywords | 複素解析 / リーマン面 / クライン群 |
Research Abstract |
20年度は下記の5つの項目について研究を行った。(1)マスキット・スライスのプリーツ座標の構成については本年度は連携研究者の宮地との討論が中心となった。(2)K=2予想の反例の構成については昨年度に行なったフランス・モンペリエ大学のR.Silhol氏との共同研究で得られた結果を論文としてまとめ公表することができた。(3)ベアス・スライスの研究については、擬等角写像、特にタイヒミュラー写像に関する知識が必要になる。そこでこの分野に関する話、特に正則2次微分とアフィン構造について5月に九州大学で3日間にわたり、入門から応用に至る全体の流れを解説する講義を行なった。その場で新たな研究連絡ができたことはたいへん有意義であった。特に力学系の研究者と意見交換できたことは、今後写像類群のベアス・スライスへの作用の力学系を考える際に重要になると思われる。(4)変形空間の境界挙動については1次元の場合にカスプの状況を決定した連帯研究者の宮地がさらなる考察を進めている。しかしハウスドルフ次元の評価など定量的な結果を得るのは来年度以降の課題として残った。(5)タイヒミュラー空間の可視化についてはコンピュータグラフィックの知識が必要で、連携研究者の山下、須川両氏との研究連絡が不可欠であるが、直接意見交換をする機会がなかったことは残念である。しかし12月に大阪市立大学で開催された国際学術シンポジウム「リーマン面,調和写像と可視化」において新たな可視化のアプローチが内外の研究者から数多く提示され、小森は組織委員として集会に深く関わる事により、多くのアイデアと意見交換を参加者と行なう事ができた。来年度以降にその成果が出ることが期待される。
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