2008 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元確率過程の構成的研究と量子情報解析への応用
Project/Area Number |
19540201
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
齊藤 公明 Meijo University, 理工学部, 教授 (90195983)
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Keywords | 無限次元確率過程 / 量子確率過程 / 量子情報論 / 無限次元ラプラシアン / 量子ラプラシアン / フラクショナルブラウン運動 / 汎関数微分方程式 / ファイナンス |
Research Abstract |
平成20年度に上記補助金を受けさせて頂き,課題にある研究を遂行させて頂いた.本研究の目的は,確率論,解析学,グラフ理論,数論,計算機科学のそれぞれの専門分野から総合的に応用に適した無限次元確率解析を共同研究し,その立場からの量子化法,さらに量子情報解析として新しいアプローチを展開することにある.主に,無限次元ラプラシアン,特にレヴィ・ラプラシアンの一般化(エキゾチック・ラプラシアンとよばれる)に基づいた無限次元確率解析およびその量子確率過程の構成法への応用において成果があがった.この作用素エキゾチック・ラプラシアンとグロスラプラシアンとの相似性の証明からこの作用素の生成する無限次元ブラウン運動の構成を行ない,成果は国際雑誌IDAQPに掲載された.さらに,ホワイトノイズ超汎関数の空間は異なるオーダーをもつ無限個のエキゾチック・ラプラシアンを用いて分解できるという結果も得ることができた.エキゾチック・ラプラシアンばそれぞれ無限次元ブラウン運動に結合していることから,分解された空間一つ一つに異なる無限次元ブラウン運動が対応するという興味深い特徴づけができることになる.これらの成果と以前からの代表者の確率過程構成法との関連性の研究を進めている.また,抽象ウイナー空間上でこれらの結果を展開し始め,ルイジアナ州立大学の郭教授との共同研究を始めている.ローマ・トルヴェルガタ大学ヴォルテラ研究所のアカルディ教授とは,この成果を基に共同研究として,新しいホワイトノイズ理論構築を進めている.このように,ホワイトノイズ理論がスタイルを変え始め,付随した量子ホワイトノイズ理論も展開できることになり,この路線に沿った量子情報解析の構築が可能になったことが本課題の成果の意義のある点である.
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