2009 Fiscal Year Annual Research Report
リュービルシステムに現れる集中現象と渦点の衝突に関する研究
Project/Area Number |
19540222
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大塚 浩史 University of Miyazaki, 工学部, 准教授 (20342470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻川 亨 宮崎大学, 工学部, 教授 (10258288)
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Keywords | 関数方程式論 / 関数解析学 / 応用数学 / 数理物理 / Liouville system / 変分法 / 渦点 / 点渦 |
Research Abstract |
本研究は、リュービルシステム(Liouville system)とよばれる非線形楕円型連立偏微分方程式系に現れる集中現象、特に、連立方程式の中の個々の方程式の解が、同時に共通の一点の周りに集中現象をおこす「集中現象の衝突」の分類を目標として取り組んでいる。前年度に引き続き、1. 既存の結果の一般化、既存の結果の検証、2. 渦点の衝突の正則化に関する研究、3. 渦点の衝突の正則化の応用、を計画に上げた。今年度は特に1.の中で、2.3.に深く関連する変分問題の基礎的研究である(単独の)リュービル方程式の漸近的非退化性について、既存の特殊な結果を一般的な場合まで拡張することができた。 リュービル方程式で記述される非線形固有値問題であるゲルファント問題では、解の爆発列(最大値が発散する列)の極限において、爆発点(最大値が発散する点)が有限個の点になり、その位置は、渦点系のハミルトニアンの臨界点になることが知られている(Nagasaki Suzuki, '90 Asympt. Anal.)。これに対し,Gladiali-Grossi ('04 Commun. PDE)は、特に1点爆発する解の列を考察し、爆発点がハミルトニアンの非退化臨界点である場合、十分爆発に近づいた解が非退化(線形化問題が非自明解を持たない)であることを示した。これを、Grossi氏(ローマ大学)、鈴木貴氏(大阪大学)との共同研究により、一般の多点爆発する解の列に対して拡張することができた。この事実は、ゲルファント問題の解が渦点系の定常解を非退化性まで込めて再現する可能性を示唆するものであり、定常解の周辺にある渦点系の解の挙動までも、ゲルファント問題を与える汎関数の等高面により記述される可能性を示唆する重要な事実であると思われる。これにより、衝突する渦点を渦度場から考察する際の重要な指針が得られたと思われる。
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