2008 Fiscal Year Annual Research Report
銀河系中心核「いて座A*」への質量供給過程とその進化に関する観測的研究
Project/Area Number |
19540237
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡 朋治 Keio University, 理工学部, 准教授 (10291056)
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Keywords | 宇宙物理 / 電波天文学 |
Research Abstract |
今年度は、本研究課題の第二年度にあたり、初年度に引き続いて以下の観測的研究を進めた。 1.ASTE望遠鏡によるサブミリ波分子輝線サーベイ サブミリ波望遠鏡ASTEを使用して、CO J=3-2輝線によるCentral Molecular Zone(CMZ)のサーベイ観測を継続した。今年度までの観測により、CMZ全域のサーベイを完了し、かつて無い規模のデータを蓄積する事ができた。これによって、CMZ内に多数の高励起ガス塊が検出され、それらのエネルギー源は超新星爆発である事が濃厚となった。それらは所謂「高速度コンパクト雲(HVCCs)」と良い対応を示すが、必ずしも全てのHVCCsが高励起状態を呈する訳ではない。これはHVCCsの時間進化の効果であると解釈することができる。 2.野辺山45m電波望遠鏡によるミリ波分子輝線サーベイ ・Pigtail分子雲の詳細観測 過去のCO J=1-0輝線サーベイ・データ内で見出された「豚の尻尾(pigtail)」状分子雲の、様々な分子種のミリ波回転遷移輝線による詳細なイメージング観測を行った。この分子雲は美しい螺旋構造をしており、1)コンパクト天体からのジェット、2)磁場中の捻れたAlfven波、等の起源が考えられた。本観測の結果は、pigtail分子雲の速度場はAlfven波から期待されるものからは程遠く、コンパクト天体からのジェットによって掃き寄せられた星間ガスが成す構造とする説を支持する。 ・X線解離領域の探査 銀河系中心核Sgr A^*の過去の活動性を探査する目的で、X線解離領域(XDR)に特有な分子種のミリ波回転遷移輝線によるCMZ広域サーベイ観測を行った。その結果、XDR起源分子の存在度が、Sgr A^*からの投影距離に対してほぼ単調に減少している事が分かった。この事は、過去のSgr A^*が強烈なX線を放射していた事を示す証拠と言える。
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[Journal Article] Aperture Synthesis Imaging of a High-Velocity Compact Cloud near the Galactic Center2009
Author(s)
Oka, T, Hasegawa, T., White, G. J., Sato, F., Tsuboi, M., & Miyazaki, A.
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Journal Title
Publications of the Astronomical Society of Japan 60
Pages: 429-434
Peer Reviewed
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