2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540266
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪野 公夫 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (10125271)
|
Keywords | 熱雑音 / 重力波 / 石英 / 鏡 / 揺動散逸定理 |
Research Abstract |
数社により製造された多種の溶融石英の機械損失を系統的に計測し、その機械損失に大きな差があること、熱処理によって機械損失を低減できることなどを見出した。特に、Heraeusの溶融石英においては、バルクの溶融石英としては最高のQ値である4×10^7が測定され、周波数が低くなるほど損失が小さくなる傾向が確認された。外国等で行われた、同種の石英の低周波側における機械損失は当研究室の外挿とよく一致しており、興味深い。 この可能性を確かめるために、石英材料を円盤形状に加工し、周波数の低い領域で機械損失を測定することを行った。測定されたQ値は、数100Hzから数kHzにおいて10^7程度であり、モードの形状に応じて増減した。これは、試料表面における損失が測定に影響を与えていると考えられている。また、鏡として用いるために施されるコーティングの影響を調べるため、試料にコーティングを行い測定を行った。その結果、Q値は約2桁低下し、コーティングの損失角φ=2×10^{-3}という値を得た。 その他、石英以外の鏡として有望視されている材質、シリコンやサファイアについても測定を行った。 熱雑音推定のため従来使われてきたモード展開法に改良を加え、損失が非一様に分布している場合でも正しい熱雑音を与えるような解析方法を提案した。この新モーダル解析法では、従来考慮されてこなかった固有モード間の相関を取り入れることにより損失の分布に関わらず正しい熱雑音の値を得ることができる。この解析方法により熱雑音に対する物理的考察が可能になった。また、この方法の妥当性は、損失が非一様に分布した試験体の熱雑音を実際に測定することにより検証された。
|