2010 Fiscal Year Annual Research Report
電弱対称性の自発的破れの現象論的研究による標準模型を超えた新物理学の理論の決定
Project/Area Number |
19540277
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
兼村 晋哉 富山大学, 理工学研究部(理学), 准教授 (10362609)
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Keywords | ヒッグス / ニュートリノ質量 / 現象論的研究 / 加速器物理 |
Research Abstract |
本研究計画の目的は素粒子標準模型で最後の未知の部分である電弱対称性の目発的破れの部分(ヒッグスセクター)の性質を理論的洞察と将来の加速器実験での検証によって決定し、素粒子の質量起源の謎を解くとともに標準模型を超えた「新物理学」の方向性を明らかにすることにある。ヒッグスセクターは現在LHC実験で検証されつつあるが、その真の姿としては様々な可能性があり、階層性問題や暗黒物質、ニュートリノ振動等の標準模型では説明できない現象を解決する為に構築されたTeV領域の新物理模型とも密接に関係している。本研究では、一貫して新物理学とヒッグスセクターの関係に注目し、加速器実験でのヒッグスの検証と詳細の測定を通じて標準模型を超えた物理学理論を現象論的に決定することを目指すものであり、4年間の研究により初期の研究目的はかなりの程度に達成することができた。平成21年度の主要な研究成果を以下に示す。 1.新物理模型の有効理論として、暗黒物質がヒッグス場を通じて標準模型と結合する暗黒物質のシナリオがLHC実験等の加速器実験で検証できることを理論的に示した。 2.様々な超対称ヒッグス模型における理論的予言を研究した。すなわち階層性問題を解決する有力候補である超対称性に基づいて、ビッグスセクターがとり得る拡張の可能性を分類し、将来加速器で最も軽いヒッグスが見つかった時に質量や自己結合の測定でヒッグスセクターの形を決定できることを示した。 3.拡張ヒッグスと摂動効果によりニュートリノ微小質量を自然に導出する模型(輻射シーソー模型)の一般性質を研究した。また超対称性の枠組みで暗黒物質を含む輻射シーソー模型を構築し、それに現れる複荷電粒子のLHCでの現象論を研究した。
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Research Products
(20 results)