2007 Fiscal Year Annual Research Report
行列模型及ゲージ理論による弦理論の非摂動的ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
19540294
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土屋 麻人 Osaka University, 大学院・理学研究科, 助教 (20294150)
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Keywords | 行列模型 / ファイバー束 / T双対 / AdS / CFT対応 / BMN行列模型 / チャーン・サイモンズ理論 / BF理論 |
Research Abstract |
行列模型における曲った時空の実現についての研究を行った。ます、主束上のヤン・ミルズ理論から底空間上のヤン・ミルズ・ヒッグス理論への次元還元を一般的に行った。構造群がU(1)またはSU(2)またはそれらの直積の場合には、後者の理論のある真空まわりでオービフォルド条件を課すことにより、前者の理論が得られることを示した。これはテイラーによる行列T双対の拡張になっている。さらに、これらの発見をSU(n+1)多様体上のヤン・ミルズ理論に応用した。SU(n+1)群多様体はS(2n+1)上のSU(2)束、CP(n)上のSU(n)xU(1)束、1点上のSU(n+1)束と見なせる。したがって、上述の次元還元を適用すると、S(2n+1)とCP(n)上のヤン・ミルズ・ヒッグス理論および行列模型が得られる。このヤン・ミルズ理論と2つのヤン・ミルズ・ヒッグス理論に行列T-双対の拡張を適用し、これらの理論の関係を見出した。また、CP(n)上のヤン・ミルズ・ヒッグス理論のU(1)モノポール真空解まわりの理論は行列模型の適当なfuzzy CP(n)真空のまわりの理論で可換極限をとったものに一致することを示した。特にこの事実と行列T双対の拡張を組み合わせることによって、S(2n+1)上のヤン・ミルズ・ヒッグス理論が行列模型の中で実現できることを示した。さらに、n=1の場合の結果を応用として2つの研究を行った。1つめはBMN行列模型(plane wave matrix model)によってRxS(3)上のN=4超対称ヤン・ミルズ理論の非摂動的定義が与えられる可能性を示した。これはAdS/CFT対応の検証にとって重要である。N=4超対称ヤン・ミルズ理論を少なくとも古典的には与えるBMN行列模型の適当な真空まわりの理論において、量子論的な計算を1ループレベルで行い、ゲージ対称性に対するワード恒等式が成立することとべータ関数が消えていることを示した。2つめとして、位相的弦理論と関係のあるリーマン面上のU(1)束上のチャーン・サイモンズ理論とリーマン面上のBF理論に質量項が加わった理論との関係を見出した。また、リーマン面が2次元球面のときは行列模型との関係も見出した。
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