2008 Fiscal Year Annual Research Report
行列模型およびゲージ理論による弦理論の非摂動ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
19540294
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
土屋 麻人 Shizuoka University, 理学部, 准教授 (20294150)
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Keywords | ラージN還元 / N=4超対称ヤン・ミルズ理論 / plane wave行列模型 / AdS / CFT対応 / 2次元ヤン・ミルズ理論 / N=1^*行列模型 |
Research Abstract |
平成20年度は主に曲った空間上のゲージ理論の行列模型における量子論レベルでの実現について研究した。前年度の研究成果をもとに、従来平坦な空間上で考えられていたラージN還元をS^3上に拡張することにより、plane wave行列模型によるRxS^3上のN=4超対称ヤン・ミルズ理論のプラナー極限の非摂動的定義を提唱した。これは従来のラージN還元では成しえなかった超対称性とゲージ対称性の両方を保つ正則化を与えており、特に16個の超対称性を保っていて、最近の超対称ゲージ理論の格子理論によるアプローチにおいてもできていない画期的な定式化になっている。この定式化は計算機に乗せることができ、N=4超対称ヤン・ミルズ理論のプラナー極限の強結合領域を数値シミュレーションで調べることができる。これによって、AdS/CFT対応の典型例であるN=4超対称ヤン・ミルズ理論とAdS_5xS^5上の超弦理論(超重力理論)の対応の予想の従来の方法ではできなかった極めて非自明な検証が可能になる。ここでは、この定式化の妥当性を示すために、まず1ループの摂動計算を行い、N=4超対称ヤン・ミルズ理論のもつ32個の超電荷を含む超共形対称性が連続極限で回復していることの証拠を得た。さらに、連続理論で知られている有限温度、弱結合極限でのdeconfinement相転移がこの定式化から再現されることを示した。また、2次元ヤン・ミルズ理論がN=1^*行列模型とよばれる3-行列模型の中で量子論的に実現されることを示した。この結果により、さらにS^3上のチャーン・サイモンズ理論が上記のラージN還元の拡張を通して、この行列模型において量子論的に実現されることが期待される。
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