2009 Fiscal Year Annual Research Report
行列模型およびゲージ理論による弦理論の非摂動ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
19540294
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
土屋 麻人 Shizuoka University, 理学部, 准教授 (20294150)
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Keywords | ラージN還元 / チャーン・サイモン理論 / N=4超対称ヤン・ミルズ理論 / カイラルプライマリー演算子 / AdS / CFT対応 / 群多様体 / coset空間 |
Research Abstract |
平成21年度は主に3つのテーマに取り組んだ。1つ目は、平成20年に提唱したS^3上のラージN還元の具体例として、N=1*行列模型によるS^3上のチャーン・サイモン理論の量子論的な実現に成功した。実際、N=1*行列模型をS^3に相当する背景まわりで展開して得られる理論から、チャーン・サイモン理論のプラナー極限における分配関数と絡んでいないウィルソンループ演算子の期待値が再現されることを示した。この結果は曲がった空間上のラージN還元を完全に示しきった初めての例であり、他の理論への応用への基礎となる。2つ目はこのS^3上のラージN還元のひとつの重要な応用であるRxS3上のN=4超対称ヤン・ミルズ理論のplane wave行列模型を用いた非摂動論的定式化についての研究である。カイラルプライマリー演算子の2点、3点、4点関数を行列模型のさまざまな背景まわりでモンテカルロシミュレーションを用いて計算し、2点、3点関数について非くりこみ定理が成立することを見た。これはRxS^3に相当する背景でも非くりこみ定理が成立することを意味し、重力側の予言と一致する。4点関数についても重力側の予想と予盾しない結果を得た。これらは多点関数にういて初めてなされたのAdS/CFT対応の非自明な検証である。3つ目は、上記のS^3上でのラージN還元の拡張として、一般の群多様体上でラージN還元が成立することを示した。すなわち、群多様体上のラージNゲージ理論はそれを0次元に次元還元して得られる行列模型で記述されることを示した。さらに、coset空間においても同様のことが成り立つことを示した。群多様体やcoset空間は曲がった空間の典型例であり、これら結果はラージNゲージ理論の非摂動論的定式化という観点から重要であるだけでなく、行列模型における曲がった時空の記述に発展をもたらすはずである。
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