2010 Fiscal Year Annual Research Report
行列模型およびゲージ理論による弦理論の非摂動ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
19540294
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
土屋 麻人 静岡大学, 理学部, 准教授 (20294150)
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Keywords | ラージN還元 / N=4超対称ヤン・ミルズ理論 / IIB行列模型 |
Research Abstract |
二つの研究テーマに取り組んだ。一つ目はRxS3上のN=4超対称ヤン・ミルズ理論に対するラージN還元模型の研究である。この模型を検証するために、以下の2つの計算を行った。まず、この模型において1ループのベータ関数が消えていることを示した。これはN=4超対称ヤン・ミルズ理論が共型不変な理論であることと合致している。次に、連続理論で行われているようにBPSウィルソンループの真空期待値をファインマンゲージでプラナーラダー図を足し上げることにより計算し、連続理論での正確な結果を再現した。また、この模型を計算機にのせて、N=4超対称ヤン・ミルズ理論の強結合領域の数値シミュレーションを行い、AdS/CFT対応と合う結果を得た。二つ目は、超弦理論の非摂動的定式化として期待されているIIB行列模型の研究である。従来、この模型のローレンツ版は非摂動論的にはよく定義されていないと考えられていたが、実は矛盾なく定義されることを示した。具体的にはカットオフを導入して経路積分を定義し、ラージNの極限でこのカットオフを取り除けることを示した。このようにして得られた理論はスケールパラメータ以外のパラメータを持たず、非摂動的弦理論に期待される性質を持つ。さらに、時間および時間発展がダイナミカルに生成されることを見出すとともに、ある臨界時刻が存在して、その時刻以降は空間のSO(9)対称性がSO(3)に自発的に破れて、3+1次元の膨張する宇宙がダイナミカルに出現することを発見した。
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