2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540308
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前田 恵一 Waseda University, 理工学術院, 教授 (70199610)
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Keywords | ダークエネルギー / 重力理論 / 宇宙論 / 非一様宇宙 / 加速膨張 / ブラックホール / インフレーション / 超弦理論 |
Research Abstract |
ビッグバン宇宙論は現代科学の金字塔と言えるほど非常に成功した理論であるが、その成功は宇宙論や基礎科学に新たに大きな課題「ダークエネルギー問題」をもたらした。本研究では、3つのアプローチ[(1)物質としてのダークエネルギーの可能性、(2)重力理論の違いが見かけ上のダークエネルギーを示唆する可能性、(3)その他のより自然なモデルの可能性]からこのダークエネルギー問題の解明に取り組んだ。その結果、(1)と(2)の2つのアプローチは拮抗しており、それらについてより具体的なモデルの解析が必要であるとの結論に達し、以下の研究を行った。第一のアプローチは主にスカラー場のダイナミクスが対象になるが、これまでのインフレーション研究等の方法を駆使してダークエネルギーであるための条件、可能性、自然さなど総合的な観点から系統的な解析を行った。また、宇宙論だけではなく、強重力現象、特にブラックホールとダークエネルギーの共存系についても調べている。具体的には、超紐理論を基礎にした交差ブレイン解を時間依存した場合に拡張し、膨張宇宙中のブラックホール解を構成した。さらにこの解を一般化した「ダークエネルギー中のブラックホール解」の構成にも成功し、その時空構造を詳細に解析した。第二のアプローチにおいては、これまでに行ってきたスカラーテンソル理論や超弦理論・M理論などの素粒子統一理論などの一般相対性理論を拡張したいろいろな重力理論の研究方法、特に、共形変換(及びさらに一般化したルジャンドル変換)を用いた解析法を、提案されている数多くのダークエネルギーモデルに適用し、ダークエネルギーの説明としての理論の整合性や可能性・自然さの研究など、総合的な解析を行った。特に、スタロビンスキー達が提唱しているf(R)重力理論を基礎に中性子星の存在可能性について解析し、これらの理論の問題点を明らかにした。
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Research Products
(18 results)