2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540344
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
深町 共栄 Saitama Institute of Technology, 工学部, 教授 (20092314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 利一郎 埼玉工業大学, 先端科学研究所, 教授 (70237808)
吉沢 正美 埼玉工業大学, 人間社会学部, 准教授 (70166932)
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Keywords | X線導波管 / 干渉縞 / 閉じ込め効果 / 動力学回折 / 異常透過 / ボルマン効果 / 蜃気楼効果 / X線干渉計 |
Research Abstract |
当研究は、新型結晶X線ウエーブガイド(CXW)の開発である。 このCXWは、動力学回折効果で、結晶の実質的な吸収係数が平均の吸収係数より著しく小さくなる現象を用い、薄い平行平板結晶をウエーブガイドと機能させることにある。この研究を開始するにあたり、CXWの現象は、私どもの手でGeの結晶において観測され、またその出力ビームには干渉縞が観測されたが、しかし、そのX線の伝播のメカニズムが不明で、また干渉縞がなぜ生じるのかその原因も不明であった。 この課題が採択された平成19年度においては、実験設備が整い、理論的研究も進み、X線の伝播の様子がほぼ解明できた。その結果、SiもCXWとして機能することが分り、それを平成20年度のKEK-PF及びSPring-8の実験で確認した。理論によると、人射X線の発散角が1秒以下であるにも関らずCXW内の屈折波の方向は、格子面に平行な方向から透過方向まで極端に変化する。このため、入射X線を1秒程度の発散角をもつ球面波とみなすと、入射点からCXWの出力面(側面)に直接届く屈折波と、屈折波が一旦底面で反射して側面に届く二つの屈折波の干渉で干渉縞が現れることが分った。 さらに、CXWの屈折波の方向が非常に僅かな歪に敏感に変わることに着目し、歪の影響による干渉縞の変化を観測して、CXWが歪解析に有効であることを確認した(現在論文準備中)。さらに歪が一様に変化する場合は、屈折波の軌跡が放物線になるため、屈折波が再び入射面に戻り(蜃気楼効果)、その一部は回折して蜃気楼X線(二次回折線)となる。残りは再び反射して屈折波となり結晶内を伝播する。この蜃気楼効果をCXWで確認し、その上で、一次と二次の回折線を重ねることにより、CXWから強力なX線が得られることを実験的に確認した。よって、CXWは、X線を増幅する機能があることを発見した(現在論文準備中)。 以上、当研究では、新型CXWを開発し、その働きを理論的に解明した。CXWの特性改善には、結晶を僅か曲げて蜃気楼効果を利用するのが得策である。この蜃気楼効果で、一次と二次の回折線の合成に成功し、X線レーザ用光学素子開発に新しい一歩を切り開いた。
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] 結晶X線導波管のレンズ作用2009
Author(s)
深町共榮, 遠山将彦, 平野健二, 吉沢正美, 根岸利一郎, 平野馨一, 依田芳卓, 今井康彦, 川村隆明
Organizer
日本物理学会第64回年次大会
Place of Presentation
立教大学
Year and Date
2009-03-28
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