2009 Fiscal Year Annual Research Report
高分子準結晶の発見―新準結晶の構造と物性の理論的研究
Project/Area Number |
19540365
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堂寺 知成 Kinki University, 理工学部, 教授 (30217616)
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Keywords | 準結晶 / 物性理論 / 高分子構造・物性 / 自己組織化 / フォトニック結晶 / ミクロ相分離 / アルキメデスタイリング / ブロック共重合体 |
Research Abstract |
古典結晶学で許されない回転対称性を持つ「準結晶」の発見は20世紀後半の物質科学上の大発見の1つであるが、この20年研究は主に合金系で閉じられていた。一方、近年ナノテクノロジーの隆盛も相まって、ソフトマターにおける自己組織化構造が注目を浴びているが、高分子領域では準結晶のような複雑な構造は発見されていなかった。われわれは2007年度、高分子準結晶発見の論文を公表し、金属(ハードマター)だけでなく高分子(ソフトマター)にも準結晶が存在することを明らかにし、スケールによらない準結晶構造の普遍性を示した。これは物質科学上の大きな発見といえ、2008、2009年度は準結晶国際会議(スイス)、第11回国際結晶学連合会議など招待講演を行うなど各地で成果の公表を行った。また、解説論文を複数執筆公表した。高分子系ソフト準結晶を準結晶研究分野に確立し、同時に、準結晶構造を高分子研究分野に確立するという「予想される結果と意義」に記したとおりの結果を得た。 12回対称準結晶は実験的には金属、カルコゲン、液晶、高分子(われわれ)、ごく最近は微粒子、メソ多孔体にも発見され、理論的にはLJ-Gauss、Soft-coreポテンシャル、4面体パッキング、格子高分子模型(われわれ)など計算機実験でも複数の体系で得られることが明らかになった。そこで、2009年度はこれら多様な物質系での普遍性を明らかにするために12回対称準結晶タイリング模型のシミュレーション「ドデカゴナル準結晶タイリングの構造転移の研究」を行った。これに関しては2010年度の準結晶国際会議に招待講演で発表予定である。 この研究題目の研究目的は、高分子準結晶の実験的発見と高分子準結晶の構造と物性の理論的研究を推進することであったが、初年度の高分子準結晶発見という大発見からはじまり、3年間で関連するさまざまな理論研究を進めることができた。大きな成果を得たと言える。
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Research Products
(4 results)