2007 Fiscal Year Annual Research Report
第1原理分子動力学法に基づくフラストレート型反強磁性合金の磁気構造と相転移の理論
Project/Area Number |
19540374
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Research Institution | Hokkaido Institute of Technology |
Principal Investigator |
内田 尚志 Hokkaido Institute of Technology, 総合教育研究部, 教授 (90265059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梯 祥郎 琉球大学, 理学部, 教授 (10191975)
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Keywords | 遍歴電子磁性 / 等温分子動力学法 / 第一原理TB-LMTO法 / 磁気構造理論 / フラストレート型磁性金属 / Mn3Pt / 汎関数積分法 / 有限温度金属磁性理論 |
Research Abstract |
平成19年度は、第一に、これまでの経験的タイトバインディング(TB)ハミルトニアンに基づく分子動力学・磁気構造理論を改良して、TB-LMTOハミルトニアンに基づき第一原理分子動力学計算を行う理論的枠組を構築した.その概要は次の通りである.第一原理的に求められるポテンシャル・パラメーター、構築定数、および有効交換、エネルギー・パラメーターを用いて表されたTBハミルトニアンから出発して汎関数積分法を適用することにより、自由エネルギーの表式を導く.この自由エネルギーに対して静的近似を適用することにより、局所磁気モーメントの熱平均値に関する半古典的表式を得た.等温分子動力学法の枠組に従い、エルゴード性を仮定してこの熱平均を時間平均に置き換えることにより、局所磁気モーメントの熱平均値、従って、磁気構造を自動的に求めることができる.本年度実績の第二点は、我々の理論をフラストレート型反強磁性規則合金Mn3Ptに応用するための準備として、Mn3Pt合金に関するLMTO-ASA-GGA電子状態計算を行ったことである.その結果、非磁性状態のMn3PtはX点付近で、フェルミ在近傍に平坦バンドを形成することを見出した.このことを反映して、非磁性状態におけるMn3Ptのd電子状態密度は、フェルミ・エネルギーの位置にサブピークを持つことがわかった.これらの結果は、Mn3Pt合金における強磁性と反強磁性相互作用の競合を示唆する.平成20年度は、平成19年度に構築した理論に基づき、Mn3Ptに関する第一原理分子動力学計算を実行し、計算で求めたMn3Ptの磁気構造と実験結果との比較検討を行い、Mn3Ptの磁気構造と磁気相転移の詳細、磁気構造と状態密度の関連について明らかにする予定である.
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