2008 Fiscal Year Annual Research Report
デラフォサイト型三角格子磁性体における磁気フラストレーションと誘電分極
Project/Area Number |
19540377
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
満田 節生 Tokyo University of Science, 理学部・物理学科, 准教授 (90183962)
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Keywords | マルチフェロイック / 磁気フラストレーション / スピン流モデル / デラフォサイト型三角格子 / 誘電分極 / スピンヘリシティ / d-p hybridization |
Research Abstract |
デラフォサイト結晶構造を持つ酸化物CuFeO2は、プロパーヘリカル磁気構造により誘起される強誘電相を持つマルチフェロイック物質であるが、その微視的なメカニズムについては、代表物質RMnO3等を良く説明するスピン流モデルによりその自発分極の発生を説明できないため、metal-ligand間のd-p hybridizationのスピン方位依存性が本質的な新しい交差相関機構のモデルがArimaにより提唱されていた。このモデルでは、(1)プロパーヘリカル構造のらせん軸方向に分極ベクトルが生じ、かつスピンヘリシティに対応して分極ベクトルの極性も反転すること(2)ローカルな電気双極子モーメントはマクロな分極を与える一様な成分とともに、2q,4q(qは磁気変調波数)で変調されている成分を持つことが特徴であり、(1)についてはH19年度までの本研究により検証されたが、(2)の格子変調については詳しく探査されていない状況であった。そこでH20年度では、そのモデル検証のため、ゼロ磁場でも微量希釈によりプロパーヘリカル磁気構造が誘起されるCuFe1-xAlx02(x=0.0155)試料を用い、SPring-8のビームラインBL22XUにおいて,ヘリカルらせん軸[110]方向に磁場(up to6T)を印可しコニカル磁気構造へ変形させる過程で、2q,4qの格子変調を放射光回折実験により探査した。その結果、プロパーヘリカル構造に楕円性が生じる際に磁気弾性効果を通して誘起される2q格子変調と区別が可能な、新しい交差相関機構のモデルに固有な2q変調を観測し、前述のスピン流モデルや交換磁歪モデルとも異なる第3のスピン-分極結合のモデルの存在を実験的に示した最初の例になると考えている。
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[Presentation] 4軸中性子回折と3次元中性子偏極解析を相補的に用いたマルチフェロイックCu(Fe, Ga)Oの磁気構造解析2009
Author(s)
中島多朗, 満田節生, 高橋慶一郎, 吉冨啓祐, 寺田典樹, 北澤英明, 松田雅昌, 加倉井和久, 野田幸男, 木村宏之
Organizer
日本物理学会
Place of Presentation
立教大学
Year and Date
2009-03-28
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