2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540407
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂口 英継 Kyushu University, 総合理工研究院, 准教授 (90192591)
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Keywords | パターン形成 / 反応拡散系 / パターン制御 / 不均-反応 / 時空カオス |
Research Abstract |
空間自由度が重要になる反応拡散系やギンツブルランダウ方程式系、ラプラス方程式に支配された電気2重層や拡散方程式に支配された結晶成長問題などの数値計算をおこない、それぞれの系で特異な時空パターンを研究した。 散逸構造の振幅方程式として知られている複素ギンツブルグランダウ方程式は時空カオスをしめす典型例としても知られている。散逸がない場合は複素ギンツブルグランダウ方程式は非線形シュレディンガー方程式になる。非線形シュレディンガー方程式は光ソリトンなどを記述する完全可積分系である。この複素ギンツブルグランダウ方程式の散逸が十分弱い場合を数値計算し、その時空カオスが統計的にはソリトン集団として記述できることを示した。また、そこにあらわれるソリトンの平均振幅や平均自乗速度に対する関係式を得た。 液晶対流系などの対流の発生点で弱い時空カオスが同時に生成されるソフトモード乱流が最近発見されている。ソフトモード乱流に関連して提案されたNikolaevskii方程式の振幅方程式として提案されたMatthews-Cox方程式を数値計算し、時空カオスが空間的に一様ではなく、大域構造を持つことを示した。この大域構造は、平均振動数の大きな空間変動により、一様時空カオス状態が不安定化し時空カオス状態とゼロ状態に相分離した状態であることがわかった。時空カオスの上に新たな自明でないパターンが自発的に形成されたと解釈できる。 最近、応用が期待されている大容量電気2重層キャパシタは浩性炭を電極としている。活性炭には多くの孔があいており、表面積が実効的に非常に大きくなっているために電気容量が大きくなる。このような実効表面積の増加はフラクタル次元を用いて解析できる。このフラクタル性を持つ電極のまわりの電気2重層をポアッソン方程式、およびイオンの電気泳動を考慮した反応拡散方程式(ネルンストープランク方程式)を数値計算して求めた。多孔質中では電荷の充電過程が時間のべき則に従うことを示し、そのべキ指数がフラクタル多孔質のフラクトン次元と関係していることを見いだした。
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