2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540407
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂口 英継 Kyushu University, 総合理工学研究院, 准教授 (90192591)
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Keywords | 反応拡散系 / スパイラル / カオス / 心室細動 / 除細動 / 半透膜 / 原始細胞 / 揺らぎ |
Research Abstract |
空間不均一系の反応拡散系のパターン形成と制御の研究課題に関して今年度は3つの系の研究を行った。 細胞間の情報伝達物質として重要なカルシウム波動はスパイラルパターンを示すことがある。媒質の性質が異なる界面に興奮平面波が流入すると、カオス的な波動になり、カオスの不安定性のために平面波動が不安定化しスパイラルが生成されることをカルシウム振動のモデル方程式の数値計算で示した。この研究はアフリカのカメルーンのP.Woafo教授との共同研究である。 心臓興奮の数理モデルとして知られているLuo-Rudyモデルに交流外力を加えることでパルス波動やスパイラルがうまく消すことができることを示した。交流の振動数をパルスの脈動振動数の近くに制御することにより、ある種の共鳴現象が起こり、パルス自体が消滅するものと考えられる。この現象を重篤な不整脈の心室細動に対する交流除細動として応用できないかと考えている。この研究は、九州大学健康科学センターの丸山准教授との共同研究である。 生体細胞の起源を模擬して、半透性の膜に囲まれたセル内での反応拡散系を研究した。今回は分子数の有限性を考慮した確率的な反応モデルを考案した。さらにセル内の化学反応によって膜成分が合成されるというモデルに拡張し、何もない一様状態から膜に囲まれた細胞状態が揺らぎによって形成される得ることを数値シミュレーションによって示した。原始細胞の誕生モデルと解釈している。
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