2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540428
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
松山 明彦 Kyushu Institute of Technology, 情報工学部, 准教授 (60252342)
|
Keywords | 液晶 / 液晶ゲル / 体積相転移 / スメクチックゲル / ネマチックゲル / 液晶ゲルの変形 / 側鎖型液晶ゲル / 主鎖型液晶ゲル |
Research Abstract |
一般に温度を高温側から低温側に変化させると、液晶分子は等方相から、ネマチック相、さらにスメクチック相に変化する。本研究では、高分子の主鎖や側鎖にこのような液晶分子を共有結合でつないでつくった液晶ゲルの体積相転移に注目する。温度や液晶高分子の長さ、電場や磁場などの外場の変化に対する液晶ゲルの体積相転移を理論的に研究することを目的としたいる。本年度の目的は、(1)スメクチック液晶ゲルの弾性自由エネルギーの導出と、(2)側鎖型と主鎖型の膨潤挙動の違い、を明らかにする計画であった。現在までのところ、スメクチック液晶ゲルの弾性自由エネルギーの理論的モデルの構築と、それを使った鎖型液晶ゲルの場合の体積相転移の挙動を調べるところまで終了している。温度を下げて、ネマチック相からスメクチック相に相転移するとき、液晶ゲルの体積は膨潤した状態から凝集した状態へ不連続に収縮することがわかった。この不連続な体積の飛びは、等方相からネマチック相に相転移する場合の体積の飛びに比べで小さい。さらに液晶ゲルの形がスメクチック相の層に垂直に伸びる場合と、平行に伸びる場合が存在することがわかった。このような違いは側鎖型液晶ゲルの鎖型の液晶分子と、主鎖間の分子間相互作用によって、ゲルの変形が異なることが解った。現在論文を凖備しているところである。 これまでのところ、スメクチック液晶ゲルの体積相転移を理論的に扱った計算はなく、本研究によってスメクチック液晶ゲルの体積相転移を議論するための理論モデルの基礎が出来上がった。本研究の結果は実験的にはまだ観測されていない現象であり、実験家への研究アピールになり、さらに新しい材料設計の可能性を示唆している。
|