2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯域メソスケール雲システムにおける乱層雲中の鉛直流生成機構
Project/Area Number |
19540460
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 憲敬 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (00222183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 真之 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (90346073)
安永 数明 海洋研究開発機構, 地球環境研究センター, ポストドクトラル研究員 (50421889)
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Keywords | 気象学 / リモートセンシング / 地球観測 / 熱帯 / 降水システム |
Research Abstract |
VHFレーダーを用いた観測およびそのデータ解析、衛星データなどの解析、および数値計算によって、熱帯域の雲システムの構造について、特に鉛直流生成の観点から多面的な解析を行った。主な成果は以下の通り。(1)インドネシアに設置された赤道大気レーダー開設以来の数年にわたる長期的データを解析し、メソスケール雲システム内の鉛直流分布を統計的に調べた。特に注目している"穏やかな上昇流の数時間にわたる継続"が多数認められた。(2)信楽MU観測所で雲システム内の鉛直流観測を行った。ライダーや雲レーダーとの共同観測を行った。(3)静止気象衛星GOESを用いて降水領域や雲頂高度を同定する方法を開発した。スプリットウィンドーとよばれる赤外2チャンネルのデータを用いて、降水領域のフラグを今までよりも正確に立てることができる方法を、船舶搭載の雲レーダーとの比較によって作成した。この結果を用いることによって、観測している乱層雲の広域的分布がより明らかにできる。(4)インド洋西部領域において6-7月にみられる上部対流圏に局在した継続的な上昇流の成因を調べた。衛星COSMICからの掩蔽法による温度の正確な鉛直プロファイルを用いることによって、特に圏界面付近で正確な空間構造が記述できた。この力学的構造が、雲システム活動の層状降水を強化しているという仮説を立てて、検証を続けている。(5)熱帯のメソスケール雲システム内で観測される穏やかな上昇流を、数値モデルを用いて再現する実験を行った。その再現性は、モデル内の雲物理過程のパラメタリゼーションに大きく依存しており、力学過程よりも雲微物理過程の重要性が示唆された。
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Research Products
(7 results)