Research Abstract |
放散虫4種の超薄切片による電子顕微鏡観察を行い,これまで分子系統解析より得ていた結果と照らし合わせ,放散虫に共生する藻類の同定を試みた. 観察に用いた放散虫は,沖縄県本島北西部瀬底島沖合(26°37'N,127°47'E付近)でサンプリングしたEuchitonia elegans(Ehrenberg), Dictyocoryne truncatum(Ehrenberg), Spongaster tetras Ehrenberg,およびDictyocoryne profunda Ehrenbergの4種である.超薄切片観察の結果,E.elegans,D.truncatum,およびS.tetrasのそれぞれから渦鞭毛藻,ハプト藻,緑藻の特徴を持つ共生体が確認できた.分子系統解析の結果からは,D.truncatumの共生藻は,浮遊性有孔虫の持つ共生藻類と近縁であったが,E.elegansに共生している渦鞭毛藻は,染色体が凝集した核,三重チラコイドを持つ葉緑体といった渦鞭毛藻の特徴が確認され,分子解析より,既知のGymnodinium属の種と単系統を形成することが支持され,これまでサンゴやシャコガイから報告されているスエシア目(Suessiales)の種ではなく,Daugbjerg et al.(2000)で定義された狭義のGymnodinium属の種であることが明らかになった. また,これまで藻類は共生していないと考えられていたD.profundaの超薄切片を観察した結果,殼表面に数多くのシアノバクテリアが共生していることが確認された.
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