2008 Fiscal Year Annual Research Report
岩石-水系の高圧高温下における弾性波速度と活断層型地震震源近傍の含水量モデル
Project/Area Number |
19540502
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
石川 正弘 Yokohama National University, 大学院・環境情報研究科(研究院), 准教授 (70232270)
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Keywords | 高温高圧 / 地殻 / 断層 / 弾性波速度 / ポアソン比 / 水 |
Research Abstract |
本研究課題では,地殻岩石に関して,含水量・含水鉱物と地震波速度・ポアソン比・Vp/Vs比の関係を明らかにすることを目的とする。具体的な目的は以下の通りである。 (2) 高温高圧条件で,水を含む岩石試料の弾性波速度を測定する。 (2) H2O流体や含水鉱物が弾性波速度に及ぼす影響を定量的に明らかにする。 本年度は次の研究項目を推進した。(1)高温高圧下での岩石-水系における弾性波速度測定実験。横浜国立大学設置のピストンシリンダー型高温高圧発生装置を用いて、最大1.5wt%の含水状態の岩石試料を島弧地殻深部に相当する温度圧力条件での弾性波速度測定を実施した。今年度は地殻を代表する石英に着目し、細粒な石英岩の弾性波速度測定を行い、0.6GPa・500℃までの温度圧力条件において良質なP波シグナルを得ることに成功した。一方、S波は含水率0.02wt%以下において良質なシグナルを得ることができた。今後、この測定システムを用いることにより、地殻構成岩石の含水条件における速度測定が発展可能である。(2)岩石中の水の分布様式と弾性波速度。弾性波速度への水の影響を評価する場合、実験試料中の水の形態および分布が重要である。本研究では、実験試料の水の分布の解析に着手し、分布形態と速度低下率の関係、および震源近傍の含水量モデルについて日本地質学会において論じた。上記以外にも東北本州弧、伊豆小笠原弧の下部地殻の含水鉱物(角閃石)の分布に関する研究を行い、それら成果の一部は雑誌論文(Journal of Geophysical Research、Tectonophysics等)として公表されている(研究発表欄に示してある)。
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