2008 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧実験による沈み込むスラブ由来流体の化学組成の理解
Project/Area Number |
19540504
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 竜彦 Kyoto University, 理学研究科, 助教 (00303800)
|
Keywords | マグマ / 水 / 高温高圧 / 臨界終端点 / 沈み込み帯 / 氷 / ラマン / マントル |
Research Abstract |
沈み込むスラブから放出される水に富む流体は、プレート境界の地震や低周波微動を引き起こし、マントルウェッジを上昇し前弧では湧水となり、より深部ではマグマを作る。本研究によって、高マグネシウム安山岩と海洋堆積岩の組成をもつメルトと、水に富む流体の間の区別がなくなる温度圧力条件(臨界終端点)の圧力は、これまで想像されてきた圧力よりも低く(深さ75km(堆積岩)-90km(高マグネシウム安山岩)であることを確認した。火山フロントの下のスラブ直上ではすでに水に富む流体とマグマの区別はつかない。つまり、火山弧の下ではたっぷりとケイ酸塩成分を溶かし込んだ超臨界流体が、スラブからマントルウェッジに放出される。火山フロントの下で、沈み込む堆積岩中の含水鉱物の脱水分解によって放出される濃い超臨界流体は、マントルウェッジで化学組成を高マグネシウム安山岩に変化させる。これは、かんらん岩と共存する水流体に溶け込むケイ酸塩成分は高マグネシウム安山岩である(Ayers et al.1997,Earth and Planetary Science Letters)ためである。その高マグネシウム安山岩質のケイ酸塩成分を溶かし込んでいる超臨界流体は、上昇する際に臨界終端点である90km程度の深度で、水に飽和したマグマと、マグマ成分を溶かした水流体に分離する。このように分離したマグマと水流体はマントルとそれぞれ反応し、2種類のマグマを作る可能性がある。沈み込み帯の火成活動では、「カルクアルカリ系列とソレアイト系列」、「アダカイトマグマと非アダカイトマグマ」また「高マグネシウム安山岩と玄武岩」など2種類の独立なマグマ系列が共存していることが多く、この2系列のマグマの共存は、スラブ起源流体がマグマと水流体へ分離することが原因と考える。
|
Research Products
(11 results)
-
-
-
-
-
[Presentation] ラマン密度計のための二酸化炭素標準試料2008
Author(s)
水上知行, 荒川雅, 山本順司, 鍵裕之, 榎並正樹, 川本竜彦, 小林記之, 平島崇男, 小山内康人, 石橋秀巳, Madhusoodhan Satish-Kumar
Organizer
日本地球惑星科学連合大会
Place of Presentation
幕張メッセ
Year and Date
20080500
-
-
-
-
-
-