2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540514
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
松本 潔 University of Yamanashi, 教育人間科学部, 准教授 (60373049)
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Keywords | エアロゾル / 糖 / 有機エアロゾル / 雲粒核 / 有機炭素 / 水溶性有機炭素 / 粒径分布 / 生物エアロゾル |
Research Abstract |
横浜(都市)及び丹沢大山(山間部)にて採取された大気エアロゾル試料中の糖類(グルコース、マンノース、キシロース等の中性糖類)を測定し、その濃度の季節特性、地理的特徴、粒径分布特性、エアロゾル中炭素成分に占める割合などを検討し、以下の結果を得た。 1、糖類は微小粒子に多く含まれる粒径分布を示した。 2、微小粒子中の糖類は冬季に、粗大粒子中の糖類は夏季に高濃度を示した。 3、糖類濃度は横浜と大山では殆ど差がなかったが、元素状炭素濃度は横浜で高かった。 4、いずれの地点・粒径においても、糖類と非海塩カリウム濃度に高い相関性が得られた。 5、水溶性有機炭素に占める糖類濃度の割合は数%〜10%程度であった。 以上の結果から、エアロゾル中糖類の起源と雲核への寄与について、以下の知見を得ることができた。 1、糖類の起源として、植物片やリターなどの飛散・再飛散が重要である。これは粗大粒子領域だけでなく、微小粒子領域についても当てはまり、太陽光散乱や雲形成に重要な微小粒子中有機成分の起源としての、生物粒子の重要性を提示するものである。 2、雲核への糖類の寄与は大きいと考えることができる。これは、エアロゾルとして存在する糖類の雲形成過程における重要性を提示するものであり、上述した生物粒子の重要性とあわせて、雲化学における生物粒子の役割について更なる研究の必要性を示すものである。 なお、本成果は現在、査読付き学術雑誌に原著論文として投稿準備中である。
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Research Products
(5 results)