2008 Fiscal Year Annual Research Report
分散・懸濁系での天然抗酸化剤の活性酸素消去とスピンダイナミクス
Project/Area Number |
19550019
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小原 敬士 Ehime University, 理工学研究科, 准教授 (10284390)
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Keywords | 生体分子 / 抗酸化 / 活性酸素 / 一重項酸素 / 懸濁系 / 近赤外発光 / スーパーオキシド / 過渡吸収 |
Research Abstract |
本課題は、光学的透明性が得られない分散・懸濁液中において、複数の天然抗酸化剤が含まれる系の活性酸素種消去過程について一重項酸素(^1O_2)近赤外発光寿命計測などの特徴ある時間分解法で速度論的研究を行い、生体膜界面付近で起こる抗酸化過程で想定される活性酸素種・抗酸化剤の溶存状態・反応場へのアクセス等の動的影響に注目し、その詳細の解明を目的として実施した。 ・油水界面で活性酸素種消去が起こる系で複数の天然抗酸化剤共存による作用を調べるため、典型的な油溶性抗酸化剤のビタミンE(VE)と水溶性抗酸化剤のビタミンC(VC)を水・エタノール混合溶媒に分散した油水エマルジョン系と水油分散系の逆ミセル系を調製し、過渡吸収法と^1O_2発光寿命法による速度論的研究を行った。266nm光によるVEの光分解過程で、光励起後10-200μsで観測されるVEラジカル減衰がスーパーオキシドアニオンラジカル(O_2^-・)との反応であることがわかり、二次反応速度定数(k_2)を決定した。逆ミセル系においてk_2がVC添加により増大する濃度依存性から、VEラジカルとO_2^-・の両方が逆ミセル界面近傍にあり、VCにより消去されることが新たに示された。また、逆ミセル系の^1O_2消去では、VCとVEが単独でともに高い^1O_2消去活性を示すが、両者共存系ではVCの寄与が勝ることから、水相に近い逆ミセル界面近傍で^1O_2消去が起こる過程が示唆された。 ・表面での反応活性が高いとされる金ナノ粒子を含む金コロイド溶液を調製し、この溶液で^1O_2を発生させて発光寿命計測を行い、^1O_2挙動に対する金ナノ粒子の作用の基礎検討に着手した。さらに、天然抗酸化剤を加え、金ナノ粒子との抗酸化過程における相互作用について検討している。
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Research Products
(7 results)