2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
一戸 雅聡 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (90271858)
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Keywords | 高周期典型元素 / 常磁性化学種 / 有機ケイ素化合物 / ケイ素ラジカル / ジシラキノジメタン |
Research Abstract |
前年度までに二つのケイ素ラジカルをパラフェニレン基で連結したパラジシラキノジメタンの合成に成功し、1重項キノジメタン構造を持つことをX線結晶構造解析により明らかにしている。本年度は、二つのケイ素ラジカルをメタフェニレン基で連結したメタジシラキノジメタンを合成し、その分子構造、スピン状態について実験的、理論的に検討した。 極めて嵩高い七ert-ブチルメチルシリル基が二つ置換したヨードシラン部位をメタフェニレン基に導入した前駆体の還元的脱ヨウ素化反応により、メタジシラキノジメタンを合成、単離することに成功した。そのX線結晶構造解析により、二つのケイ素ラジカル部位のケイ素3p軌道は共にメタフェニレン基のπ軌道との相互作用が発現しない直交配座をとっており、またメタフェニレン基内のC-C結合に結合交替が存在しないことが明らかとなり、二つのケイ素ラジカル部位が単純にメタフェニレン基で連結された分子構造を持つことが分かった。メタジシラキノジメタンのスピン状態を検証すべく3-メチルペンタンマトリックス中、極低温におけるEPRスペクトル測定の結果、3重項種特有のシグナルが観測され、その強度の温度依存性からメタジシラキノジメタンが基底3重項状態を持つことが実験的に示され、理論計算の結果もそれを支持した。 また、先に合成・単離に成功しているパラジシラキノジメタンについては固体NMRによる同定に成功し、分子構造を含めて基底1重項状態を持つことを明らかにした。
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Research Products
(6 results)