2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550064
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
塚原 敬一 Nara Women's University, 理学部, 教授 (70112117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 弘 奈良女子大学, 理学部, 助教 (80335471)
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Keywords | ヘム蛋白質 / エチレンジアミン四酢酸 / 電子移動反応 / エネルギー移動反応 / イリジウム(III)錯体 / DNA / アクリジン / ビオローゲン |
Research Abstract |
本研究では、光機能素子としての金属ポルフィリンや金属錯体、あるいは電子伝達可能な有機化合物の複合体を合成・開発し、これらを材料として蛋白質へ組み入れた半人工蛋白質の合成、及びこれをDNAに組み入れた超分子複合体の構築と電子移動機構を解明することを目的とし、平成19年度に引き続き、次の3項目に関する知見を得た。 1)配立化合物の特性を生かしたヘム蛋白質複合体の構築と光特性金属キレート剤(エチレンジアミン四酢酸)を結合させたヘムを合成し、これを再構成したミオグロビン複合体のMn(II)、 Co(II)、 Ni(II)、 Cu(II)イオン共存下における電子移動反応及びエネルギー移動反応機構を高速光反応測定システムを用いて解明した。また、炭酸脱水酵素であるカルボニックアンヒドラーゼ(CA)の阻害剤として亜鉛(II)ポルフィリンを含むスルホンアミド誘導体を合成し、再構成亜鉛ミオグロビン-CA複合体を新規に構築した。さらに、発光性イリジウム(III)及びルテニウム(II)錯体を合成し、そのX結晶構造解析による構造とDFTによる理論計算との比較により、その発光特性を解明した。 2)ヘム蛋白質-DNA複合体の電子移動ヘム蛋白質であるミオグロビンやシトクロムcの表面及び活性中心に白金(II)錯体を化学修飾し、DNAと白金(II)錯体との結合を利用してヘム蛋白質-DNA複合体の構築を行った。また、これらの複合体内での光誘起電子移動反応及びエネルギー移動反応機構について蛍光分光法により解明した。 3)ヘム蛋白質の電子移動反応特性を生かした分子情報伝達ヘム蛋白質表面の不斉場を認識するキラルな電子キャリアーとして光学活性アクリジン及びビオローゲンを合成し、ミオグロビンの活性中心のヘム鉄を亜鉛に置換した亜鉛ミオグロビンの光励起三重項との光誘起電子移動反応の機構及び立体選択性を検討した。
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