2008 Fiscal Year Annual Research Report
非イオン界面活性剤ミセルを媒体とするイオン会合抽出と分離分析
Project/Area Number |
19550090
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高柳 俊夫 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50263554)
|
Keywords | 非イオン界面活性剤 / 二相間分配 / ミセル結合反応 / アルキルイミダゾリウム / 芳香族アンモニウム / ポリオキシエチレン |
Research Abstract |
本研究では,環境負荷の高い各種有機溶媒を極力使用せず,分離分析における水系溶媒の積極的な活用を目指している,二相間分配反応を伴う分離分析を実現するための一つの方法として,水中の非イオン界面活性剤ミセルを擬似有機相,疎水性抽出媒体として用いる研究を進めている.この研究を通して,疎水性イオン及びイオン会合体のミセル抽出現象に関する物理化学の確立を目指している. これまでの研究で,疎水性物質の分配反応場としての,有機溶媒と非イオン界面活性剤ミセルとの類似性,相違性に関する情報を蓄積してきた.すなわち,ポリオキシエチレン系の非イオン界面活性剤からなるミセルは,ミセル自身に電荷を有さない点で有機溶媒と等価であるが,無電荷物質に加えて電荷を有するイオンも結合する特徴を有する.イオン種に対するミセルの選択性もあり,非イオン界面活性剤では陽イオンよりも陰イオンを強く結合する知見を得ている.なお,結合反応の平衡解析には,反応に基づいてプローブイオンの電気泳動移動度が変化するキャピラリー電気泳動法を用いた. 本年度の研究では特に,陽イオン種としてアルキルイミダゾリウムのミセルへの結合反応を通して,非イオン界面活性剤の結合特性に関する検討を進めた.各種アルキルイミダゾリウムはイオン液体として注目されており,今後その用途が拡がると考えられる.四種類のアルキルイミダゾリウムの結合反応は,昨年度に検討したアルキルピリジニウムと同様に比較的弱い結合特性が得られた(学会発表済,論文執筆中).また,陽イオンとしてアルキルアニリニウムイオン,芳香族アンモニウムイオンについて検討を進め,陽イオン種の非イオン界面活性剤ミセルへの弱い結合特性に関するデータを蓄積している(学会発表予定).
|
Research Products
(4 results)