2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型化学反応を目指したアシルシランの合成とその利用に関する研究
Project/Area Number |
19550103
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
本田 光典 Kanazawa University, 自然科学研究科, 講師 (60242533)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千木 昌人 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (90135046)
|
Keywords | フルオラス合成 / アシルシラン / パーフルオロアルキル基 |
Research Abstract |
本研究では,市販のトリデカフルオロヨードオクタンを出発原料とし,これを金属マグネシウムとの反応によりGrignard試薬へと変換し,クロロシラン類と反応を行うことによりケイ素原子上へ1〜3個のパーフルオロアルキル基を導入した。得られたシラン誘導体を臭素で処理し,パーフルオロアルキル基を導入した臭化シランを得,これをシリル化剤として以下に示したアシルシラン合成に用いた。Soderquistらのアセチルシラン合成法に従いエチルビニルエーテルを出発物質とし,これをt-ブチルリチウムで処理してリチオ化した後に上記反応で得た臭化シランと反応させ対応するビニルエーテル誘導体を良好な収率で得た。引き続き,得られたビニルエーテル誘導体を塩酸を用いて加水分解したところ,定量的に目的とするアシルシランが生成した。しかしながら出発原料であるビニルエーテルへの多彩な置換基の導入が容易ではなく,本手法では種々の置換基を有するフルオラスなアシルシランの合成は困難であることが判明した。一方,メトキシフェニルチオメタンのシリル化を利用したMandaiらのアシルシラン合成法を検討したところ,ケイ素上にパーフルオロアルキル基を3個または2個持つシリル基の導入反応は殆ど進行しなかったが,1個持つ場合には良好な収率で目的化合物を得ることが出来た。得られた生成物へのアルキル基の導入,引き続くm-過ヨウ素酸ナトリウムでの酸化反応を検討した結果,n-ペンチル,イソブチル基等の置換基を側鎖に持つフルオラスなアシルシランを得ることが出来た。 以上に述べたように,フルオラスなアシルシランの合成法を確立したことは,これまでに本研究者らが開発したシリル基の特性を利用する立体選択的な炭素鎖の構築法ヘフルオラス合成の手法を導入することを可能にするものであり,環境調和的な化学反応の開発という観点から大変意義がある。
|