2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリン化合物による光捕集アンテナ系ナノ結晶の作製と光物性
Project/Area Number |
19550131
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笠井 均 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 准教授 (30312680)
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Keywords | ポルフィリン / ナノ結晶 / 再沈法 / サイズ制御 / ナノ混晶 / エネルギー移動 |
Research Abstract |
本年度においては、平成19年度に作製された単一種のポルフィリン化合物で構成されるナノ結晶または複数種の化合物で構成されるポルフィリンナノ混晶に関して、各ナノ構造体のサイズ・構造評価を行った。サイズ評価に関しては走査型電子顕微鏡と動的光散乱法を併用し、結晶型評価に関しては粉末X線回折装置を用いた。その結果、再沈法における注入溶液の濃度および貧溶媒の温度という実験条件を制御することにより、サイズが50nmから400nm程度の範囲で、単一種または複数種のポルフィリン化合物で構成されるナノ結晶またはナノ混晶が作製できることが分かった。ここで、ナノ混晶が生成できていることは、粉末X線回折の結果から得られたものである。 次に、上記のように得られたサンプルの水分散液や薄膜状態における光吸収や蛍光特性等を測定した結果、ナノ結晶のサイズに連動した結晶ドメイン間の会合状態の変化が観測されたことが明らかとなった。さらに、ポルフィリン溶液、またはポルフィリンナノ結晶の混合水分散液では、ドナー/アクセプタ-間の光エネルギー移動が見られなかったのに対して、ポルフィリンナノ混晶では、光エネルギー移動が観測された。このような有機混合ナノ結晶内におけるエネルギー伝達等はこれまでにほとんど明らかになっておらず、本研究は、今後、物理化学的視点を導入すれば、さらに完成度の高い成果になると考えられる。将来的には、光電変換材料などの機能性材料として使用されることが期待される。
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