2008 Fiscal Year Annual Research Report
微視的ネマチック秩序を持つ光学的等方相の構築とそれを用いた表示材料の研究
Project/Area Number |
19550175
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
吉澤 篤 Hirosaki University, 大学院・理工学研究科, 教授 (30322928)
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Keywords | 液晶 / ブルー相 / ネマチック相 / キュービック相 / キラリティー / 電気光学効果 |
Research Abstract |
1. ブルー相IIIの温度幅拡大のための設計指針並びに電気光学応答 ブルー相は光学的等方相であることから、ラビングなどの配向処理を必要とせず、良好な黒レベルが得られる。ブルー相には3種類あり、そのなかでもブルー相III (BPIII)は液体と同様の柔らかさを持つ。私たちは平成19年度にキラルT型化合物を用いてBPIIIで電界応答することを初めて実証した。平成20年度は温度幅の拡大と高速化に取り組んだ。 (1) スペーサーを導入した新規二軸性キラル化合物を設計・合成し、それが冷却時25℃から0℃の範囲でブルー相IIIを示した。応答時間が温度に依存し、低温側で応答挙動が遅くなった。 (2) 含フッ素ネマチック液晶とキラル化合物からなる二成分系を調べた。誘起したブルー相では電界ON・OFFとも応答時間が温度に依存せず、OFF時で4ms程度であった(Appl. Phys. Express, 2008, 1, 111801)。実用化をはかる上で非常に有用な知見が得られた。 (3) ビナフチル基と2つの2, 3-difluoro-1, 4-diphenylbenzeneを一分子中に組み込んだ新規ビナフチル誘導体を合成し、その相転移挙動を調べた。BPIIIは示さなかったが、冷却時71℃から40℃の間でキュービックブルー相を発現した。 2. 側方にフッ素をもつコアと末端にフッ素を持つコアからなる非対称二量体液晶のネマチック相におけるパターン形成 上記の液晶化合物が発現するネマチック相に電界を印可するとグリッドパターンやヘリカルフィラメントパターンが生じた。電界により誘起されたコンフォメーション変化により二量体分子がねじれ構造をとり、その結果、ヘリカルフィラメントパターンが生じたと考えられる(Jpn. J. Appl. Phys., 2008, 47, 6386)。
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