2007 Fiscal Year Annual Research Report
硬い常微分方程式が与える連続力学系の周期解の数値計算
Project/Area Number |
19560059
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
村重 淳 Future University-Hakodate, システム情報科学部, 教授 (40302749)
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Keywords | 数理工学 / 力学系 |
Research Abstract |
カオスを含む複雑な非線形現象のメカニズムを体系的に調べるためには,現象の本質をモデル化した方程式を数値的に解いて,力学系理論の観点から考察することがしばしば有効である.本研究の目的は,力学系の数値計算の目的に適した計算方法,すなわち解の位相的性質(安定性など)を正確にとらえる計算方法を開発することである.そのためには,対象としている方程式だけでなく,解の摂動の時間変化を支配する方程式(変分方程式)の適切な計算方法を考えることが重要である. 本研究では,常微分方程式の周期解の安定性に焦点を当て,精度の高い計算方法を考えている.まず,非線形振動のモデルとしてよく用いられるVan der Pol-Duffing方程式を例にとり,従来の計算方法で周期解の安定性を調べた.その結果,平衡点付近を通過する周期解に対して,安定性の計算結果に大きな誤差が含まれる場合があることがわかった.平衡点付近を通過する周期解は,時間変動が非常に遅い部分と非常に速い部分が含まれるため,微分方程式の離散化と数値計算には注意が必要である.特に,数値的な安定性解析では,対象としている微分方程式に対応する変分方程式の計算結果の精度が重要である.そこで,本研究では,変分方程式の解がみたすべき条件を整理し,それらの一部を境界条件として採用する新しい計算方法を提案した.その結果,従来の計算方法では安定性の結果の誤差が大きい場合でも,提案手法を用いると精度よく計算できることを数値実験で確認した. 今後は,適当な変数変換を用いて変分方程式を境界値問題として定式化し,計算結果の精度を定量的に評価する方法を開発する予定である.
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Research Products
(3 results)