2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560066
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 滋 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (60271011)
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Keywords | 気体分子運動論 / 分子気体力学 / ボルツマン方程式 / 相変化 / 真空 |
Research Abstract |
本年度は真空への膨張流を解析するためのコード作りに着手した.まずテストケースとして分子無衝突の極限である自由分子気体の場合を考えた.この場合は厳密解を求めることができるので,この解の再現性を調べることで数値解析法の基本的特性を調べることができる.その結果,これまで申請者らが主に用いていた「マーチング」と呼ばれる差分解析法では,本研究が対象とする微妙な問題では,十分な精度の解が得られないことがわかった.そこで方程式の特性線に沿った差分解法に切り替え,自由分子流の解析では良好な結果を得た.この結果を受けて,現在,衝突項を取り入れた方程式の差分解析法を開発中である.現在直面している大きな問題は計算スキームの安定性である.これは当初の計画では予想していなかった難点であり,試行錯誤を繰り返している.その一方で,当初計画ではもっと後で行うつもりだった気体論的境界層の解析については大きな進展がみられた.そのひとつは境界での分布関数の特異性を解析的に抽出する方法の見通しがつけられたことである.もうひとつの成果は相変化を伴う凝縮相の界面における種々の跳びを方程式の対称性をもとに関係付けられることが明らかになった点である.
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