2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560066
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 滋 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (60271011)
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Keywords | 気体分子運動論 / 分子気体力学 / ボルツマン方程式 / 相変化 / 真空 / 対称性 / エントロピー生成 |
Research Abstract |
本年度に取り組んだ課題ならびにそこで上げられた成果はつぎのとおりである.(1)真空への膨張流の計算において昨年度に顕在化した,計算スキームの不安定化の問題に取り組んだ.人口粘性を取り入れるなどの手法により,既存スキームを安定化することを試みた.その結果,比較的狭い計算領域では,この手法が計算の安定化につながることが確認された.つぎの課題は計算領域を広げた際の計算スキームの安定性を確認することである.(2)気体論的境界層における分布関数の特異性を解析的に抽出する方法を新たに考案した.この方法の有効性を検証するために,BGKモデル方程式を用いた予備計算に着手した.(3)線形化ボルツマン方程式の対称性を基に,気体領域の境界を横切る質量,運動量,エネルギー流束に対する表現定理を確立した.さらに,この表現定理を用いて,気体論的境界層において成り立つ新しい交流関係が存在することを明らかにした.この理論的成果を数値的に検証するため,上記(2)の計算法を用いることを計画しており,これは次年度の課題である.なお,本年度は,上記(1)に関する論文1編が出版された.また,上記(3)については,その成果をまとめた論文を投稿したほか,台湾中央研究院を訪問中に,Kinetic Theory Dayおよび2009 Workshop on Kinetic Theoryと題する研究会および国際会議で発表した.さらに,同研究院で開催された春の学校でもこの話題についての集中講義を行った.
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Research Products
(2 results)