2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子構造制御による生体吸収性高分子系複合材料の破壊特性改善に関する研究
Project/Area Number |
19560093
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東藤 貢 Kyushu University, 応用力学研究所, 准教授 (80274538)
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Keywords | 生体吸収性材料 / 骨固定材料 / 破壊特性 / 複合材料 / 分子構造 / 高次構造 / ポリマーブレンド / 高靭化 |
Research Abstract |
生体吸収性ポリ乳酸(PLA)は、医療分野で骨固定材料として広く利用されている。最近では、生体親和性に優れるハイドロキシアパタイト(HA)の微粒子を分散させたHA/PLAの実用化も進んでいる。しかし、PLAは金属に比べて剛性や破壊特性に劣り、またHA粒子の複合化は破壊特性を低下させることが知られている。そこで本研究では、PLAおよびHA/PLAの微視構造を制御して力学特性、特に破壊特性を向上させることを目的とした。 用いた構造制御法は3種類であり、延性生体吸収性樹脂であるポリカプロラクトン(PCL)をブレンドする方法、リジントリイソシアナート(LTI)を微量添加する方法、プレス加工による分子鎖配向法である。PLA/PCLブレンドの有効性は本研究代表者の過去の研究においても示されたが、相分離を生じることが問題点として挙げられていた。本研究において、PLAとPCLのブレンドにLTIを添加することで相容性が格段に改善され、破壊特性も大きく向上することが明らかになった。そのメカニズムとしては、LTIのイソシアナート基とPLA、PCLの水酸基が反応しウレタン結合を生じることで相容性が改善されたことが考えられる。さらに、PLA単体およびHA/PLAに対してもLTIの効果が確認された。 LTIを添加した材料を生体材料として使用する場合には、LTIおよびその反応生成物の生体適合性を確認する必要がある。一方、プレス加工による構造制御は添加物を用いないため生体適合性には問題がない。基本的なプレス加工は2軸的に分子鎖を配向させるため面内等方的に力学特性を向上させることが可能である。本研究では1軸的に分子鎖を配向させるために試料保持の冶具を考案し、延伸方向に対して垂直な方向の力学特性が2軸プレスよりもさらに向上することが明らかになった。
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